เข้าสู่ระบบ「…ふわぁーーー…今日はなんだか疲れたなー。」
眠さで大きなあくびをするミーナ。 ロフィスの一件の後、グレンとミーナは町の外れにある綺麗な水辺の近くに寝泊まりすることにした。 「けどグレンの空間能力はすごいね。なんでも収納可能じゃん。」 テントや寝泊まりするために必要な道具はグレンの空間能力のポケットから引き出した。 「…そういや、エバルフさんが言ってた事ってほんとかな?」 ミーナはエバルフ達と別れる際に、エバルフからこんな事を聞いた。 昼間 ロフィスを倒した後、エバルフ達はグレン達の方に向かって一列に整列した。 「今回の件に関しては、紅の悪魔祓いの協力で獄魔の討伐に見事成功した。感謝する。それと、お嬢ちゃん。…ありがとう、君のおかげで騎士団の誇りを思い出せた。」 「全隊、礼!!」 そしてエバルフの号令でエバルフと部下達は全員揃って頭を下げた。 「俺を捕まえなくていいのか?ずっと狙ってたんだろ?」 「まさか、今日俺たちの命を守ってくれた恩人を捕まえるわけないだろう。…では、俺は今日の事を騎士団の団長に報告しなければならんからここで失礼する。」 エバルフ達は去ろうとしたがエバルフは最後に振り返ってからこう言った。 「一応言うが団長には気をつけろよ。あの方はお前みたいな強い奴と戦うのが好きだから会えば必ず戦いになる。そうなったら流石のお前も命はないぞ。」 それを最後に言い残し、部下を引き連れて去っていった。 「………命はないぞ…っていう事はグレンより強いのかな?」 悪魔を余裕で倒すグレンに勝つかもしれない人なんて相当強いに決まってる。 「だとしたらグレンとその団長は近づけてはいけないわ。…そういえばグレンは裏で何してるんだろ?」 ミーナはその事を伝えるためにテントの裏に顔を出してみた。 そこには何やら坐禅を組みながら目を瞑り、魔法書のような物を開いていた。 その周りを囲む様に黒い魔法陣が地面に展開され、そこでひたすら呪文のような物をブツブツと唱えていた。 ミーナはよく聞き取れないので気づかれないようにそーっと近づいて聞いた。 「(何だろう…?こんなに近くで聞いてるのに何言ってるのかさっぱり…)」 ミーナはここで邪魔するのもグレンに悪いと思ったのか終わるまでそばで待つ事にした。 おいっ、お前! 「ん?…今声が聞こえたような…」 探さなくていい!前見てみろ! 突然誰もいないはずなのに聞こえてきた声を探していたミーナはその声の言う通り目の前のグレンを見た。 しかし、グレンはずっとブツブツと呪文を唱えているので声をかけたのは他の人…。 でも誰が? (そうだ、俺はお前が見てるところにいる!) 「えっ?もしかして、グレンなの?」 しかし、グレンはこっちを見る事なくブツブツと呪文を唱えてるだけなのに声の発生源はグレンの方からだった。 (そうだ。俺はグレンの中からお前の心に話しかけてんだよ。) 「グレンの中から?…もしかして悪魔なの?」 (ああ、そうだ!確かこいつのもう一つの人格が言うてたろ?俺は契約によってこいつと共存してるってな。) その悪魔は姿は見えないがその不気味で低い声を聞けばどれだけ恐ろしい悪魔なのかミーナでも判断できた。 「…あなたが、グレンを悪魔祓いにした悪魔なの?」 (だったらなんだよ?大体俺がいなかったらこいつは死んでんだぜ?…そんなことよりもよ、今はこいつの邪魔しない方がいいぜ?) 「グレンは何してるの?」 ミーナが話しかけてもグレンは呪文をずっと唱え続けているがその中にいる悪魔は言った。 (こいつは今 魔導の扉(マジックゲート)に行ってる。) 「魔導の扉って何?」 (お前らでいう勉強みたいなもんだ。まだ習った事のない教科は勉強して身につけるだろ?こいつはああやってブツブツと呪文唱えることで魔法を習得する事が出来るんだよ。) 「へ、へぇー」 普段から勉強していないミーナはあまり共感出来なかったのか適当な返事を返した。 「勉強しなくても楽に魔法が手に入るなんていいなぁー。」 (あ?誰が楽に手に入るって言ったよ?魔導の扉は約30分で新しい魔法を習得出来るがその分デメリットもある。) 「デメリット?」 (ああ。あれはその30分間意識をある場所に持っていかなければならないからな。下手したらそのまま意識が戻らなくなる。) 「えぇ!!そんな危険なのこれって!?」 (うっせーな…デカイ声出すんじゃねーよ。だから意識を持ってかれないように呪文唱えてんだろ?) 「なるほど。ああやって集中を切らさないようにしてるのね?」 (そうだよ!…ったく…そろそろあいつが戻ってくるからあばよ!) そう言い残して悪魔の声は聞こえなくなり、呪文を唱えてたグレンは目を開けると魔法陣が消えていった。 目を開けるとそこにミーナがいたので気づいた。 「…なんだ、いたのか」 「うん、ちょっとね。その…何してたの?」 「なんでもいーだろ?…明日は朝早くに出発するから今日はもう寝ろ。」 ミーナに教えるのが面倒くさいのかミーナを押しのけてグレンはテントの中に戻っていった。 「何よ、ほんっと自分勝手ね!別に知ってるからどーでもいーもん!」 文句を言いながらミーナもテントの中に戻った。 一方、エバルフは今回の出来事を伝えるために騎士団に戻った。 石造りの建物の扉を開けるとそこには1人の女性が騎士団の鎧を身につけて立っていた。 「あら、帰って来たのね。12騎士長。」 その女性は鎧を身につけているが金髪で目の大きい美人な人だった。 「そういうお前は何してるんだ。10騎士長(テン・ナイツ)。」 「その呼び名はやめてちょうだい。2人っきりの時くらいカレンって呼んでちょうだい。」 「…お前、それ誰にでも言うんだな…。」 この騎士団は12人の強い騎士を○騎士長と呼ばせていて、強いものほど低い数字の騎士長と呼ばせていた。 しかし、カレンはそう呼ばれるのが嫌いだった。 なぜなら 「だって~、男には名前で呼んでもらいたいもんー!」 「ハァー…そんなんだからお前は20代後半になっても彼氏すら出来な……痛たただだだだ!!」 「今なんかいった~?」 「何も言ってませーん!言ってないから捻りながら俺の足を踏むなー!!」 笑顔のままエバルフの足を踏みつけるカレン。 そんな事をしてると誰か他の奴が帰って来たのか扉が開いた。 「おーい、帰ったぞー…って、何してんの?」 扉を開けたのはグレンと同じ10代後半でエバルフやカレンとは違う黒い服を纏い、腰には二刀の長剣をぶら下げていた。 一見少年に見えるその男にエバルフとカレンは姿勢を正して。 「「お、お疲れ様です!団長!!」」 そう、この男こそが大国イフリークの魔法騎士5000人を従える団長だった。 「そんな堅苦しいあいさつしなくていーよ。みんな俺より年上なんだしさ。」 「い、いくら私たちの年が上だとしてもあなたと私たちでは騎士としての位が違いますよ!」 「そ、そうです!俺みたいな一番位の低い12騎士長が団長に失礼な態度など取れるはずありません!」 「はは、そんな事ないよ!…で、2人は何こんな所で仲良く痴話喧嘩してるの?」 「「してません!!」」 団長にからかわれて2人は同時に声をあげて否定した。 そのあまりにも息がぴったりだったので団長はクスクスと笑った。 この国の魔法騎士団団長は先ほどからエバルフとカレンが言うように年は低くてもこの国で一番強い魔法騎士であり、5年も前から団長を務めていた。 身長は少し低めだが一見黒髪で幼い顔つきでパッと見ただけでは普通のカッコいい少年に見える。 しかし、その強さは歴代の中でもずば抜けていて言い表すとこの国の5000人の魔法騎士を1人で相手し倒せる程の力を持っていると言われている。 「えー、結構似合ってると思うんだけどな。お二人さん。」 「「似合ってません!」」 またまた息ぴったりのお二人さん。 「あはは!…まあ、それはさて置き…10騎士長は何してたの?」 「わ、私は少し任務に行ってたので疲れて休憩してました!」 カレンは団長にそう言うが目が違う方向に向いてたのでエバルフはこれは嘘だなっと心の中で思った。 団長も同じように思ってたのか。 「え、君が任務の後に疲れて休憩なんて珍しいね?」 っと疑いの目でカレンに聞いた。 「えっと…そ、そうなんですよ!日頃の疲れが溜まってたのかもうクッタクタで、あははは!」 カレンよ、分かり易すぎるぞそれは。 団長はハァっとため息をついて今度はエバルフの方を向いた。 「……まあ、いいや。12騎士長は今日何してたの?」 「俺は今日……悪魔を討伐しました。」 その一言で場の雰囲気が凍りついた。 「あ、あなたが悪魔討伐ぅ?全く、嘘つくならもうちょっとマシな嘘にしなさいよ!」 お前に言われたくねーよ! しかし、団長は真面目な顔になり。 「ほう、悪魔をね。確かに君の力ではまだ悪魔を倒すとこまでは無理なはず。到底1人では倒せないはずたが……もしかすると誰かの手を借りたのですか?」 「……はい。今回は、悪魔祓いの力を借りて倒しました。」 「あ、悪魔祓い!?あんたあった事あるの!?」 悪魔祓いに異常に反応するカレン。 「あぁ。それも長年俺が追いかけていた妹の仇と思ってた男だ。」 「仇だと…思ってた?」 「俺の妹を殺したのはその悪魔祓いではなく、俺の部下だったロフィス……いや、悪魔だ。」 「ロ、ロフィスが……あなたの妹さんを…」 エバルフの言葉にカレンは口に手を当てながらフルフルと震えていた。 しかし、団長だけは。 「……なるほど、あのロフィスが悪魔だったなんて気がつかなかったよ。それで、そのロフィスを倒した悪魔祓いは今どこに?」 「分かりません。しかし、あの男は私の命の恩人です。どうかあの男に戦いをいどむのはやめて下さい!」 エバルフは急に慌しく団長に戦いを避けるように言った。 その理由は。 「何故?…その悪魔祓いって強いんでしょ?だったら戦わないと損じゃないか。」 「損とかの問題ではなく、あの悪魔祓いは全属性の最上級魔法を使いこなせる異端な男です!そんなのとガチで戦えば私たち騎士団の部下やあなたもただでは…」 「12騎士長。君は何か勘違いしてないかい?」 すると団長は腰にぶら下げている二刀の剣を抜くと口角を吊り上げ笑いながら言った。 「ふふっ…俺はさ、ただ単純に強いやつとの戦いが好きなんだよ!騎士の使命とか関係なくね!悪魔祓いが異端?上等だよ!だったら俺の力でねじ伏せれば良いだけの話だ!」 そう、これがエバルフが戦いを避けた理由だった。 この団長は見かけとは裏腹に強さを求める戦闘狂であり、戦いになると場所に関係なく辺り一面を壊滅させるので最近は年を重ねるごとに報酬よりも町の被害額の方が多くなっていた。 こんな自由気ままな性格でも騎士としての才能や魔力は他の者に比べるとずば抜けてるので周りからは信頼されていた。 「けど、すぐには戦わないさ。今日は任務終わりで体が戦う気分じゃないし面倒くさいしね。とりあえず俺はシャワー浴びて寝るわ。えっと…12騎士長の報告はそれだけだよね?」 「あ、はい!それだけです。」 団長はそれだけ聞くと奥にあるシャワールームのある部屋に入った。 「ふぅー……全く、団長の戦い好きときたら逆に尊敬するぜ。」 「そうね。あの人は生まれながらの天才だから私たちとは考え方が違うのよね。…あ、そういえばあなたこれから暇?」 「え、いや。別に何もないが。」 「じゃあさ!今からちょっとコレの相手して~?」 カレンは腰にぶら下げている剣を指差して言うがカレンがこれを言うと別のことに聞こえる。 「なんで語尾にハートがついてんだよ気持ち悪い。別に良いけどよ。」 「気持ち悪いってひどっ!もう怒った!あなたがクタクタになっても止めないから覚悟しなさ~い!」 「ハァ…こいつ顔は良いんだけどなぁ。騎士団よりあっち系の仕事の方が向いてるんじゃないかな……」 そう言いながらもエバルフは表の広場に出てカレンの剣?の相手をするのだった。他国への軍事侵攻と併合を繰り返すことで領土を拡大している巨大な大国。ここは北の大国ウンディーネ。魔力資源と軍事拡張を国家存続の核とする極端な軍事国家であり、その統治思想は「戦果こそが存在価値」という歪んだ成果主義で統一されている。戦争で功績を挙げた者は地位・富・名誉を得る権利が与えられ、失敗者や非戦闘員には価値がほぼ与えられない。戦争で功績を挙げられなくとも、国家の軍事力拡大に繋がる軍資金を納めれば国から認められる。この仕組みを国民達に徹底させる為、この国では目に見える形で国民を上級、中級、下級という風に位置付け差別化した。どういう事か?その位置付けは国民の居住地域で分けられた。上級は名前の通り、貴族や戦争功労者など富裕層を指す。中級の国民は主に庶民の人達であるが、この者達は努力次第では軍に入隊し功績を上げる事で上級へと位を上げる事が出来る。そして下級は名前の通り、国の中でも最下層の人間の事を指す。大抵の下級国民が暮らす場所は政府の目に届かない場所に位置している為、治安が悪く劣悪な環境。ここには国に対する反逆行為を行った者、犯罪を行った者、北の大国の軍事侵攻により領土を奪われたその土地の人達が住んでいた。以前ライクとニケル、グロードが北の大国に訪れた際に出会った孤児の兄弟も下級国民であった。(第24話参照)下級国民は全てにおいて最底辺であり、人権というものは殆ど存在しない。これは領土を奪った他国の人間が自国に対して反撃しない為の抑止力にもなるが、それだけでは無い。先程説明した様に中級国民も犯罪や反逆行為を行う事で下級国民に成り下がる可能性があり、国民はそれを恐れていた。ーーこんな底辺の人間にはなりたく無い。こうして劣悪な環境の中で過ごす最底辺に自分もなる可能性がある事を知らしめる。それにより、国民全員に危機感を持たせながら国の為に必死で働かせられるのだ。また、人間とは自分より下を見て優越感に浸る生き物。自分達よりも底辺の人間が居る事により優越感に浸らせれば、国民のストレスの捌け口は自然と下級国民へと移る。この「働き蟻の法則」にも似た様な差別化の仕組みが、北の大国という巨大な軍事国家を成り立たせていた。「軍事の為に働かざる者、人としての権利を得るべからず。」北の大国にはその様な言葉が昔からあった。この国民の差別化。一見
魔導戦艦。それは北の大国が保有する、空中を駆ける全長200m、全幅80m、全高75mを誇る巨大飛行戦艦である。戦艦の全方位には大量の巨大な大砲が敷き詰められてある。それら全て、[魔導砲・アステリア]と呼ばれる以前グレンが魔導兵器であるレイクと戦った時に使用されていた大砲が搭載されている。(第36話参照)軍事大国である北の大国ウンディーネ軍の技術開発局が開発したこの戦艦。実は東の大国ノームにとって因縁のある存在であった。「魔導戦艦。我ら東の大国の技術を盗んでそれを軍事転用した巨大飛行戦艦か。」バンジョウの言う通り、この魔導戦艦は約100年前に東の大国が開発した魔力式四輪駆動車の技術を改良されて作られた。100年前、東の大国ノームにやってきた北の大国ウンディーネ出身の亡命者が居た。ウンディーネは諸国周辺の国に戦争を仕掛けては勝利して自国の領土を拡大していく軍事国家であり、戦争は絶対正義であるかの様に指導される。戦争、又は軍事に反対的な意見を持つ人間は処罰の対象となる為、それが嫌で亡命する北の大国の人間は当時珍しく無かった。ノームはそのウンディーネからやってきた亡命者に仕事を与え、彼は元々軍の整備士の仕事をしていた為、機械的な物を作る仕事を与えた。しかし、これは大きな間違いに繋がるのであった。数年後、その亡命者は突如ノームから居なくなり、その数年後にウンディーネ軍がノームに対して戦争を仕掛けてきた。当時ウンディーネの魔導戦艦が、ノームで作られていた魔力式四輪駆動車と全く同じ技術を使用して作られていた為、それに気付いたノームの国民は怒った。ーー亡命してきたあの男は、我々の技術を盗む為のウンディーネ軍が遣わせたスパイだったのだと。そして100年前、この事がきっかけで北と東の大国は規模は小さいが戦争に発展しており、戦争が終結してからその後4大国間同士で不可侵条約は結ばれているが未だ北と東の関係性は悪いままである。(第16話参照)今までは嫌がらせの様な北の大国のミサイルを東の大国近辺に放っていたが、今回の様な魔導戦艦で領空に入ってきた事は一度も無かった。明らかな領空侵犯(りょうくうしんぱん)であり、東の大国ノームに対する威圧行為だ。到底許される事では無い。「このままでは国民が危険だ!一刻も早く迎え撃つ準備を!」ギンジは八握剣(やつかのつるぎ)
カイルの影の斬撃によって舞い上がった黒い魔力が引いていく。「…ミーナちゃん!大丈夫か?」幾ら本気の勝負だとしても、あれだけの攻撃をまともに喰らえばただでは済まない。心配になったカイルはすぐに影の円展開を解除し、ミーナの方に駆け付けた。しかし、ミーナは何事も無く立っていた。「…あれ?私、確かにカイル君の攻撃を喰らった筈だけど?」傷一つ付いていないミーナは自分自身でも何が起きたのか分かっていない表情をしていた。するとバンジョウが終了の合図と一緒にその理由を説明した。「勝負あり!カイル殿の勝ち!…2人とも、中々凄い戦いだった。」「この道場は今日だけ特別な"結界"を張ってるんだ。安全にテストが出来るように、[この中では如何なる理由があっても他者を殺す事が出来ない]という条件を付け加えて。」「結界?」初めて聞く用語に首を傾げるミーナ。するとグロードがバンジョウに聞いた。「結界術を扱えるのですか?」結界術。それは魔法とは違い、魔力では無く条件を成立させる事により一定範囲の空間に結界を張る術である。「ええ。まあ我は簡単な結界術しか扱えないですけど。条件が厳しくなるとそれだけ術者に掛かるリスクも高くなるから。」リスク。それを聞いてグロードは少し疑問に思った。もしかすると、ベリエルが使った呪いというのはこの結界術がベースなのかと。しかし確証がない為、思っていても皆んなには言わなかった。「では、気を取り直して。今度は…」バンジョウは他の人のテストを行う為に仕切り直そうとするが、その時であった。バンジョウの腕に付けていた腕時計から大きな音が鳴り始める。ピリリリリリリリ!!!あまりにもうるさい音にびっくりするカイル達であるが、八握剣(やつかのつるぎ)のメンバーだけは全員緊張感のある顔になっていた。何故ならこの音は彼らにとっての緊急事態を意味するからだ。バンジョウは腕時計に付いてるボタンを押してその音を止めると、腕時計のレンズから人の姿が現れる。「こちらスイゲツ!た、大変です!バンジョウさん!」ホログラムで映し出された人物は今日はこの場に来ていなかったスイゲツであった。声の感じからして物凄く慌てているのが分かる。「どうしたんだ、スイゲツ?何故緊急連絡用の通信に繋いだ?」バンジョウとその他の八握剣(やつかのつるぎ)のメンバーは、慌て
エミルとフィナが道場に到着した午前8時頃。実はグロードも既に道場に到着していたのだ。それは丁度ネルが作った修行空間からカイル達が戻ってきた後、ボロボロの姿になったカイルを見てエミルがネルにキレていた時だった。「お前ぇ!!…カイルに、何をした!!」怒鳴り声は外までよく聞こえてきた為、到着したグロードは止めようと思ったのだが、カイルがエミルを制止した。カイルは事の顛末を後から来たエミルとフィナに説明した。「(成程。ネルはカイル君達に修行を付けてただけなのか。)」外で聞いていたグロードはカイルの説明を聞いて状況を理解した。「(……さて。どのタイミングで入ろうか。)」カイルの説明を聞いていたせいで、道場に入るタイミングを完全に逃してしまう。グロードは取り敢えず気にせずに入ろうと思ったのだが。「何であいつの事そんな簡単に信用するの!?あいつがフィナさんの国でどんな事したのか、カイルは知ってるんでしょ?」再びエミルの声が聞こえてきた為、またまたタイミングを逃してしまう。カイルとエミルはしょっちゅう喧嘩はしてるものの、それは痴話喧嘩に近い感じだ。しかし、今回は違う。エミルは泣きながらカイルに訴えかけていた。そして口論はヒートアップし、捲し立てるエミルに対してカイルが言った。「エミルだってネルの事何も知らないだろ!!」カイルの声にエミルは喋るのをピタリと止めた。そしてカイルは続けて言った。「確かにネルはシルフを壊滅寸前まで追い込んだ。殺した人も星の数だろう。到底世間にも、フィナさんやライクとニケルにも許されないと思う。」「でも、それはエミルも一緒だっただろ?現に元盗賊だったせいでイフリークの騎士団には最初認めてもらえなかった。盗賊なんて、世間から見れば悪人なんだからな。」「な!…違う!私は…」カイルの発言に動揺するエミルだが、ヒートアップしたカイルは喋るのを止めない。「違わない!エミルは自分がされた事と同じ事をネルに言ってるんだ!エミルだけじゃ無い!この場に居る全員、立場が変われば被害者と加害者なんだよ!」「だから皆んな。どっちかがずっと被害者面ばかりするなよ。俺達が偉そうにネルだけを非難する資格なんて、無いんだよ。」カイルの言葉によって道場の中の空気が一気に変わったのがグロードにも分かった。「(カイル君…それは正しい事だが、今
「……だから、俺が強くなる為にネルは修行を手伝ってくれただけなんだ。今回、あいつは何も悪く無い。寧ろ感謝してるくらいなんだ。」カイルはネルの事を誤解しているエミルに今までの経緯を話した。ーーだからこんなにもボロボロだったのか。信用していない相手が自分の好きな人をこんなボロボロの状態にされてエミルが黙ってる筈が無い。けれど、今理由を知った事で誤解が解かれたエミルは落ち着きを取り戻……。してはいなかった。それを聞いたエミルは仰向けで倒れているカイルの方を見ながらボロボロと涙がカイルの顔に滴っていた。そして。「何であいつの事そんな簡単に信用するの!?あいつがフィナさんの国でどんな事したのか、カイルは知ってるんでしょ?」エミルは怒りながらカイルに言うも、その言葉にはどこか心配も含まれている様に感じられる。「ああ。勿論知ってる。けど、昨日ミーナちゃんも言ってた様にあいつにはもう悪意が無い。修行も純粋に俺達を強くする為に手伝ってくれてた。」「そのお陰で俺は昨日よりも確実に強くなれた。」カイルの返答に対し、エミルは負けずに大きな声で捲し立てた。「昨日たった1日しかあいつの事見てないんでしょ!?きっと今はこうやって良いところだけを見せてるだけ!その後から裏切る事だってある筈よ!」「人はそう簡単に変わらない!変われないのよ、悪人は特にね!そんな奴がちょっと良い事しただけなのに、皆んな簡単に騙され過ぎなのよ!」「エミルだってネルの事何も知らないだろ!!」カイルは捲し立てるエミルに負けないくらいの大声で一喝するとエミルは喋るのをピタリと止めた。そしてカイルは続けて言った。「確かにネルはシルフを壊滅寸前まで追い込んだ。殺した人も星の数だろう。到底世間にも、フィナさんやライクとニケルにも許されないと思う。」「でも、それはエミルも一緒だっただろ?現に元盗賊だったせいでイフリークの騎士団には最初認めてもらえなかった。盗賊なんて、世間から見れば悪人なんだからな。」「な!…違う!私は…」カイルの発言に動揺するエミルだが、ヒートアップしたカイルは喋るのを止めない。「違わない!エミルは自分がされた事と同じ事をネルに言ってるんだ!エミルだけじゃ無い!この場に居る全員、立場が変われば被害者と加害者なんだよ!」「だから皆んな。どっちかがずっと被害者面ばかりするな
[ライクとニケル]サイド。目の前の悪魔達に対し、2人共雷神と風神の姿へと変貌した。「一気に潰してやるよ!」「魔力操作"極(ぎょく)"!火雷(ほのいかづち)!」ライクの背中の上から2番目の鼓が光ると右手から高電圧の雷が溜め込まれる。今までの火雷はそのまま一瞬で放たれるも、魔力操作"極(ぎょく)"により溜め込み時間が普段より10秒くらい掛かる。溜め込まれた右手の雷を悪魔達に向けて一筋の矢の様にして一直線に放たれる。ドカァァァン!!!炎を帯びた雷の大爆発は魔力操作"極(ぎょく)"により、普段よりも10倍以上の威力を発揮した。その威力により、1回の爆発で100体以上の悪魔が一気に消滅した。「っしゃあ!やりぃ!」魔力操作"極(ぎょく)"が上手くいき、調子付くライク。ーーこのままやってけば、あっという間に。しかし、そんな希望は一瞬で崩れ去る。ライクの雷で消滅した側から、再び後ろの方から悪魔が再生していった。「いぃっ!?何だ!?何でまた再生したんだ!?」「…成程。どうやらこの修行、悪魔達を全員殺すのが目的じゃないみたい。」「どう言う事だ、ニケル?」「つまり、この永遠に湧き出てくる悪魔を3日間、休みなく戦い続けなければいけないって事だ。」そう。ニケルが言った通り、2人の修行はこの悪魔達を全員倒す事が目的ではない。絶え間なく湧き出てくる悪魔達を魔力操作"極(ぎょく)"を使って戦い続ける為の持久性を鍛える事が目的であった。「だからライク。そんな大技を放ったところで意味は無い。ここからはペース配分を考えて戦わなければいけない。」「成程な。効率良く戦えって事か?」「それだけじゃ無い。こいつらは魔力操作"極(ぎょく)"でしか倒せない。だからもっと成功率も上げないと。」2人は雷神と風神の力による効果で更なる力を得たのだが、持続性が無いのが欠点である。そしてもう一つ。これはライクとニケル自身の問題。2人は雷神と風神の力を過信し、いつしかそれに頼る戦いが定着しつつあった。この修行では2人のその定着した悪癖を直すのに打って付けであったが、それは只直すと言うにはあまりにも過酷な修行であった。ライクとニケルはまだ完成したばかりの魔力操作"極(ぎょく)"はまだ不安定であり、失敗する事の方が多い。その上、魔力を溜める時間に10秒必要というのも、実戦
今からおよそ10年前、ある国の悲劇によって世界中を恐怖させた。 その国は、赤い地獄ーレッドヘル。 昔は世界で一番平和で活気のある国だったが10年前の事件によって人はこの国に立ち入る事を禁止された。 そう、人はいない。 昔の事件の影響によって太陽は隠れこの国は年中黒い雲に覆われ冷たい風が街を吹き抜ける。 レッドヘルの中心部には一つだけ壊れていない小さめの建造物があり、その建造物はこの国の地下に繋がっている。 その地下には世間には知られていない場所があった。 地下の悪魔の住処ー通称(悪魔界) そこにはたくさんの悪魔が生存していて地下には建物や店が出回っていた。
「エバルフさんの悪魔化が…解けたぞー!」 「「うぉぉぉ!!でかしたぞお嬢ちゃん!!」」 エバルフの悪魔化が解けたことで部下たちは喜び叫んだ。 グレンはミーナがエバルフの悪魔化を止めれた事を未だ信じられないのか唖然としていた。 「信じられんな…ただの人間が悪魔化を阻止するなど…」 (まったくだ…てめえですら悪魔化を阻止できた事ねえのによぉ) グレンの悪魔もグレンと同じくミーナの行動を感心した。 「…何てことだ…あの人間の悪魔化を…」 悔しそうな顔をしながらブツブツ独り言のように喋るロフィス。 そして一気に顔の表情を強面に変えて。 「よくも俺達の計画を…3年
「お兄ちゃん!助けてー!」 「待ってろ!すぐ助ける!…くそっ、騎士団より悪魔が多すぎる…」 理由は分からないが突如現れた悪魔の大群は町に現れ、たくさんの人々を殺戮していた。 俺はちょうど騎士団の仕事でこの町にいたので仲間と共に悪魔に対抗していた。 大半の悪魔は倒したはずなのだがどういう訳か悪魔は増える一方でエバルフ達は苦戦していた。 その目の前には妹が悪魔に取り囲まれていた。 「エバルフさん!悪魔が多すぎて我々じゃとても…」 「くそっ、団長がいればいいんだが今あの人は他の任務だからな。どうすれば…」 エバルフが悩んでると妹を囲んでいた悪魔が妹を切り刻もうと爪を振
あの後グレンは一人で帰れそうにないミーナを家まで送り届け、今はこの町のはずれにある裏山みたいなところでパンをかじっていた。 (人の血を見た後によく飯が食えるな。) すると周りには誰もいないはずなのにどこからか声がした。 「…お前に言われたくない。」 誰もいない空間に対し返事をするグレン。端から見ると独り言を喋ってるかのようだった。 (ハハハ!それは違いねえな!てか昨日もそうだったがあの女、ミーナだったか?お前にしちゃ珍しく一人の女をやけに守ってたようだが何かあんのか?) 「…いや、別にない。ただあの女は俺に剣術を教えてくれた俺の師匠の娘だからだ。」 (あー、あのおっ